HOT TO RUN FASTER
さらに速く走るために
第21回
「腿の振り下ろし」のご紹介
新学年が始まります。5月の連休が過ぎると春の運動会シーズンです。
直前になって焦ることなく、今のうちから速く走るコツを自分のものにしておきましょう。
短距離走の動作を習得するためのドリルとしては、「腿上げ」動作がよく知られており、多くの学校やクラブでは、短距離走の基本動作練習として「腿上げ」が行われています。お父さんやお母さんの世代にも、陸上部の練習や体育の授業で「腿上げ」をやったことがある方、居るのではないでしょうか。
ところが、トップレベルの短距離選手の脚の動きを科学的に解析した結果、走るのが速い選手ほど、「腿上げ」ではなくて「脚を振り下ろす」動作のスピードが速いことが分かりました。つまり、速く走るためのポイントは、腿を高くあげることではなく、脚を素早く振り下ろすことだったわけです。
そこで、今月はこの「腿の振り下ろし」動作を習得するためのドリルをご紹介します。
まずは、足が地面をつく前に腿を下ろす動作にアクセントをつけて歩いてみます。この時に、地面に最初に着くのは足の土踏まずよりも前の部分となるように注意します。
次に、あまりスピードは出さずに走りながらやってみますが、やはり「腿の振り下ろし」にアクセントをつけてみます。
そして、地面を蹴った足を前に戻す時に、反対側(次に地面についてカラダを支えている側)の膝の横を通ることを意識してみましょう。
ところで、この動作をした時に、お子さんの腕の動きが止まっていませんか?
軽い腕振りをすることで、足の動きがよりスムーズになると思います。
「腿上げ」のドリル練習では、上半身が反ってしまうお子さんが多く見られます。これは、「腿上げ」動作は腰を中心にした回転動作であるため、腿を高く挙げる分だけ上半身が反ってしまう訳です。これでは、早く走ることは出来ません。
これに対して、「脚の振り下ろし」では、「腿上げ」は反対方向の回転動作であるため、上半身が反ること無く、むしろ、やや前傾動作となります。もしも、このドリルをやってみて、上半身が反ってしまうようでしたら、お子さんの脚の動きが、まだ「振り下ろし」ではなく「腿上げ」に力が入ってしまっているのだと思います。
最後に少しスピードをあげて走りながら、「脚の振り下ろし」を意識してみます。
この練習、スピードを出して走らなければ、お家のなかでもちょっとしたスペースが有れば出来ると思います。
運動会に向けてのマル秘トレーニングのひとつとしてぜひ試してみては如何でしょうか。