HOT TO RUN FASTER

さらに速く走るために

第10回

未来の運動会に向けた戦いはもう既に始まっている!

10月になり、ほとんどの小学校では運動会が終わったことと思います。
運動会のかけっこでは、実力を発揮して良い結果に終わったお友達もいれば、残念な結果に終わってしまったお友達もいるのではないでしょうか。来年こそは……と思っているお友達やお家の方! 来年のことを言うと鬼が笑うなんて言葉もありますが、運動会のかけっこの順位をめぐる戦いは、一年前の現時点で既に始まっているのです。

というのも、小学生の時期、体力や運動能力にはカラダの大きさが大きく影響します。カラダの大きさは、もちろん両親からの遺伝による影響も大きいのですが、それ以外にも日々の食事や運動の量や内容にも大きく影響を受けます。したがって、朝食を抜くような生活は言語道断! 通学では元気よく歩き、休み時間にはお友達と走り回ることが出来るように、朝食をしっかりと食べるという習慣をつけましょう。その内容は、カラダを動かすためのごはん・パン・シリアルなどの炭水化物、そしてカラダを作るためのタマゴ・ハム・ベーコンなどのタンパク質、そして牛乳にはタンパク質に加えて骨を強くするカルシウムが含まれています。これらの食材を確実にとることにより、大きなカラダ、力強いカラダを手に入れましょう。

次に、カラダを動かして遊ぶ習慣をつけましょう。テレビゲームで遊ぶ時間が多くなると、カラダを使う運動をする機会が減ってしまいます。また、習いごとや学習塾などに通うお子さんは、学校の授業に加えて椅子に座ってじっとしている時間が増えます。このことは、かけっこの能力を上達させるためには非常にマイナスであると考えられています。走る運動は単純な運動であると考えがちですが、はやく走るためにはうまくカラダを操ったりバランスをコントロールしたりする能力が必要となってきます。運動する機会が少ないお子さんはこれらの能力が発達しない傾向にあります。そして、これらの能力は小学校を卒業する頃からはあまり発達しなくなるため、この時点までに、様々な運動による刺激を沢山与える必要があると言われています。

ですから、自分のカラダを巧く使いこなせるように、休み時間や放課後に外を走り回ったり、カラダを使ったりして外遊びを沢山しましょう。そのためには“走る”運動のみならず、球技や鬼ごっこなど様々な運動や遊びを通して、自分のカラダを自由にコントロールすることができるようになることが重要です。もちろん、掃除をはじめお家の方のお手伝いも、カラダを沢山使うことになるわけですから、かけっこの能力向上にはたいへん有効です。

この先、寒くなると持久走大会(マラソン大会)の季節が始まります。小学生の場合、短距離走が早いお子さんは長距離走も早い傾向にあります。この理由としては、短距離走と長距離走両方のスピードにあまり差がない事、そして子どもの場合、短距離走でエネルギーを調達する能力(無酸素性作業能力)が発達していないために、短距離走でも有酸素運動の割合が多くなることがあげられます。したがって、この季節に学校で行われる持久走大会の練習は、実は来年のかけっこで勝つための練習であるわけです。