楽しみながらトレーニングできる
鬼ごっこが僕の原点
NIIYAMA TOSHIMUNE
駿河台大学
2023年度駅伝部主将
最後の箱根駅伝では、
主将としてチームを牽引し、勇姿を見せた
新山 舜心選手。
小学生時代の思い出や箱根駅伝の振り返り、
現在の夢について語っていただきました。
オリジナルの鬼ごっこで
遊びながらトレーニング
小学生の頃はどんなお子さんでしたか?
外で走り回っていましたね。サッカーやバレーボールなどいろいろな遊びをしましたが、なかでも鬼ごっこは特別でした。
一口に鬼ごっこと言ってもかなりの種類があって、当時僕らがよくやっていたのは「増え鬼」。鬼にタッチされたら鬼になり、鬼がどんどん増えていくルールで、終盤は全力疾走で逃げないといけない。僕はいつもだいたい中盤で捕まってしまいましたけど(笑)。
「ケイドロ」もやりましたね。警察と泥棒の鬼ごっこ、略して「ケイドロ」。警察と泥棒の2組に分かれて、警察が泥棒を捕まえて、牢屋に入れるという設定です。僕の学校、しかもそのグループだけのローカルルールを作って遊んでいました。
長距離選手としての僕のベースは、鬼ごっこでできていると言っても過言ではないかもしれない(笑)。鬼ごっこは楽しく遊びながらトレーニングできます。全力で走り回ったり、ジャングルジムにのぼったり、相手と駆け引きしたり、運動能力を高める要素がたくさん詰まっています。
子どもの頃は、楽しく遊ぶのが1番大事だと思うので、思いっきり遊んでほしい。やっぱり鬼ごっこじゃないですか。自分たちでルールを決めて、盛り上げる工夫をして、オリジナルの鬼ごっこを楽しんでほしいですね。
中3のとき初めて駅伝に参加
沿道の応援に感動
駅伝をはじめたきっかけは何でしたか?
中学3年生のとき、助っ人として駅伝を走りました。 沿道の方々のあたたかい応援に励まされて無事に完走。このとき「駅伝っていいな」って思ったのがきっかけです。
この頃から箱根駅伝はテレビで観ていました。鹿児島県にも「県下一周駅伝大会」という県内を5日間かけて1周する有名な駅伝があって、一度は走ってみたいと思っていましたね。
高校で駅伝を本格的に始めて、少しずつ結果がついてきて、駿河台大学から声をかけていただきました。
ご両親はどんな存在でしたか?
両親がバレーボールをやっていた影響で、僕も小学校から中学校までは少年団と部活でバレーボールをやっていました。父は少年団の監督として、小中学校ではコーチとして、僕ら子どもたちにバレーボールを教えていました。母には体の使い方を教えてもらいましたね。
両親は僕のやりたいことだったら応援する、というスタンスです。ただやるからには覚悟を持って、きちんと結果を出しなさいとだけ言われました。
今の自分があるのは両親のおかげなので、本当に感謝していますと言いたいです。親元を離れて上京してからは特に、そういう気持ちが強くなった気がします。
キャプテンとして
チーム改革を断行
後輩たちにタスキをつなぐ
主将としてのぞんだ最後の箱根駅伝を終えて、今の率直な想いを聞かせてください。
2年前に初出場を果たしたとき、チームの状態はとても良かったんです。ところが翌年は燃え尽き症候群というか、規律の乱れから始まって、チームの士気もタイムも下がる一方。昨年の予選会の結果は過去最低と言ってもいいくらい、本戦出場には到底届かないものでした。
このままじゃダメだと、僕がキャプテンになると同時にチーム改革に着手。まずは、私生活の改善を行いました。選手として当たり前のことを徹底して、毎日朝夕と練習すれば、結果は自ずとついてくると信じて断行しました。
途中、こうした規律正しい生活に耐えられないと、同級生の半数が退部。けれどそれを乗り越えて残ってくれたメンバーは、箱根駅伝に対する意識やモチベーションが高く、そういう選手たちが一丸となって練習に励み、箱根行きの切符をつかめた、そんな1年でした。
チーム改革が結果に結びついたことは、これからのチームの自信につながったと思います。より高みを目指して頑張ってほしいですね。
一汁三菜に旬の
フルーツをプラス
嫌いな食べ物を
減らす努力も大切
長距離選手にとって栄養管理はとても重要だと思いますが、食生活で気をつけていることはありますか?
そうですね。主食、主菜、副菜、汁物をバランスよく摂ることはもちろんですが、季節のフルーツを食べることをぜひやってほしいですね。寮では管理栄養士の寮母さんが、毎日朝と夕に必ずフルーツを出してくれます。旬のフルーツにはビタミンをはじめ、栄養が豊富に含まれているので、牛乳やヨーグルトなど乳製品と一緒に摂ることをおすすめします。
あとは、嫌いなものを減らすことかな。好き嫌いなく食べる子はよく育ちます。食事が幅広く摂れるのは、ゆくゆく大事になってくると思います。僕自身も好き嫌いなく何でも食べます。
靴屋さんには
「瞬足」コーナーが
クラスメイトの
ほとんどが履いていた
「瞬足」を初めて履いたときの印象を覚えていますか?
小学校4〜5年生の頃にめちゃくちゃ流行りました。靴屋さんに行くと「瞬足」コーナーがあって、運よくサイズがあるときは買ってもらえました。
本当に人気で、クラスメイトのほとんどが履いていましたよ。当時、子ども用の運動靴で、機能性をアピールしているものは他になくて、非常に画期的でしたね。
「瞬足」のように、モノやヒトとの出会いが人生を変えた経験はありますか?
まさに今この瞬間ですね。「瞬足」を履いていたことで、まさかこんなことになるとは思いもよらなかったですし、「BROOKS」を手に取って履いたときは、アキレスが販売しているとは知りませんでした。今こうしてつながったことに、不思議な縁を感じています。
好きな言葉はありますか?
「為せば成る 為さねば成らぬ 何事も」です。この歌の作者は上杉鷹山で、江戸時代中期の大名です。簡単に言うと「何かを成し遂げようと思ったら、まずは行動しなさい」という意味。両親から教えてもらった言葉です。
走りで元気を与えられる
ランナーになりたい
今の“夢”を教えてください。
今回の箱根駅伝で、次の走者にタスキをつなごうと必死に頑張っている僕らを見て、「とても元気をもらえました」というメッセージをたくさんいただきました。それが本当に嬉しくて。これからも応援してくださる皆さんに、元気を与えられるような選手になりたいですね。
そしていつの日にか、世界6大マラソン大会、東京、ボストン、ロンドン、ベルリン、シカゴ、ニューヨーク、すべてを制覇するのが夢です。
PROFILE
新山 舜心(ニイヤマ トシムネ)
- 生年月日
- 2001/10/6
- 出身
- 鹿児島県鹿児島市
- 所属
- 駿河台大学(2024年3月時点)
- 自己ベスト
- 5000m-13分59秒21
10000m-28分14秒30
ハーフマラソン-1時間2分35秒 - 主な実績
- 2022年-第98回箱根駅伝出場 7区
2024年-第100回箱根駅伝出場 2区
鹿児島高校で駅伝部に所属し、本格的に長距離に取り組む。駿河台大学では2年時と4年時に箱根駅伝に出場。4年時にキャプテンに就任。卒業後も実業団で競技を継続していく。自己ベストは5000m13分59秒21、10000m28分14秒30、ハーフ1時間2分35秒。