第9回
瞬足
瞬足

運動会に出場するお子さんのこころについて

梅雨に入る前の運動会シーズン、学校などでは運動会や陸上大会が開催された方も多いと思います。お子さんの活躍はいかがでしたか。そしてお父さん・お母さんはお子さんの結果についてどのような言葉をかけてあげたでしょうか? 今回は、お子さんが運動会や試合で受ける緊張感、そして親御さんの言葉に対する心の反応に関するお話です。

運動会では、実力通りの結果を残せたお子さんもいれば、残念ながら緊張してしまい力を発揮することが出来なかったお子さんもいたのではないかと思います。本番で実力を引き出すためには、自信を持って臨むことが重要です。自信は緊張を和らげるばかりか、力を最大限もしくはそれ以上に引き上げるものです。これまでやってきた練習はもちろんですが、コーナーで滑りにくい靴を履いていることなども自信を高める要因となります。

また、普段から試合や競争をする機会のあるお子さんは、勝負慣れしているために緊張感もさほど高いものではなくなります。したがって陸上競技に限らず、サッカーや野球といったクラブなどに所属して日頃からスポーツ活動を行っているお子さんの場合には、体力的にも高いレベルにある傾向に有りますが、心理的にも有利であるといえるでしょう。そして、幼児期や児童期には運動や遊びで「出来た!」とか「やった!」といった達成経験を積んだ子どもは、自分はやれば出来るという感覚(運動有能感)を持つようになるといわれています。そうすると、運動好きになるのはもちろんですが、行動面でも積極性や協調性が高くなる傾向があるといえます。

ただし、一生懸命やっても上達することが出来なかったり、負けたりという経験を繰り返すと、自分はダメな人間だという感覚(運動無力感)をもつように成ってしまうようです。その場合は運動嫌いになるだけではなく、劣等感が強く、何事にも消極的になってしまう傾向にあります。この時期に形成された強い運動無力感は、成人になってからの運動への参加を大きく阻害するということが、心理学的な研究により明らかにされています。

このようなマイナスの影響は、指導者やチームの雰囲気が勝つ事を重視する「成績志向的雰囲気」を持つ場合に特に顕著になると言われています。一方、頑張った・惜しかったという努力や過程を重視する「課題志向的雰囲気」の環境では、勝ち負けや上手下手はさほど重視されず、たとえ負けたり失敗したとしても責められたり避難されたりすることがありませんし、このような環境で育った場合には、努力したことは能力が評価されたのと同じ印象を受けるために、失敗によるマイナスの影響はほとんどないと言われています。

幼児期や児童期では親や指導者を絶対視するために、これらの人々のスポーツに対する価値観をそのまま受け入れる傾向が強いです。一方、中学生や高校生くらいになれば、次第に自我に目覚めていき、自分自身の価値観が形成されるようになるため、おとなや仲間の影響を受けながらも、自分の意思で様々なことがらを判断することが出来るようになっていくと言われています。

つまり、幼稚園児や小学生児童に対しては、一等賞をとることができれば心置きなく褒めてあげて、残念ながら結果が良くなった場合には努力したことを褒めてあげ、次ぎにチャレンジする気持ちを高めてあげることが重要なのではないでしょうか。