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速く走るためのワンポイントアドバイス | スペシャル

速く走るためのワンポイントアドバイス

第30回:「走り方について」

<その1:短距離走のフォームに関する基本的な考え方>

子どもに走り方を指導する時に、大人は型にはめた走り方を指導しようとしてしまいがちです。しかし、人それぞれ体型や手脚の長さが若干違うように、子ども達がリラックスして楽に走ることのできるフォームもそれぞれです。走り方を無理に矯正すると、かえって肩や腕にチカラが入ってしまい速く走ることが出来なくなってしまうことがあります。そのため、基本的にはそれぞれの個性を活かして伸ばしてあげて、あまりにも走るのに妨げになるような動作であれば修正してあげるくらいがちょうど良いでしょう。

<その2:腕ふりの動きとイメージ>

ランニングフォームで誰にも共通する点は、腕を振って脚を動かし、片足ずつ地面を蹴るということ、そして右腕が左脚、左腕が右脚と連動して動くということです。ですからここまでは特に教えたり、フォームをなおしたりする必要はないでしょう。
腕を速く振ることで脚も速く動くので、速く走るためには腕を素早く振りたいところです。腕は前から後ろに振りますが、この時に肘が伸びたままになっていたり、途中で肘が伸びたりするような動作だと素早い腕振りは出来なくなってしまいます。ですから腕振りの時、肘は軽く折り曲げ、肩を中心に振ります。
また、「手を振る」イメージだと、腕を後ろに振った時に肘が伸びてしまうことがありますので、手ではなく「肘を後ろに引く」イメージで振るとよいでしょう。
腕振りは前後方向に振るのが基本ですが、肘から先(前腕部)が左右に振れてしまうお子さんが、特に女の子に多くみられます。この場合、腕振りが遅くなるばかりか、前に進むためのチカラが左右の横方向に逃げてしまうことになるので、速く走ることが出来ないことが多いです。肩を中心にした前後方向の腕振りになおして上げるのがよいと思います。
腕振りは肩を中心にした肘や手の振り子運動ですので、これをイメージさせてあげれば、左右ではなく前後方向の腕振りが身につけやすいのではないでしょうか。そして、振り子は前後に大きく振れば、そのスピードもより速くなるので、これをイメージさせてあげましょう。

<その3:脚と足の動きとイメージ>

①「腿上げ」ではなく「足で押す(プッシュ)」

ランニングでは、足で地面を蹴るのでカラダが前へ進みます。ですから、実は地面の蹴り方が大切なわけです。これに対して、お父さんやお母さんが子どもの頃には「腿上げ(ももあげ)」という練習がよく行われましたよね。「腿上げ(ももあげ)」という表現だと足を地面から離すことを意識してしまうので、地面に確実に力を伝えることが出来ないことがあります。ですから、最近では「腿上げ」ではなく、足で地面を「プッシュ(押す)」することをイメージさせます。きちんと地面を「押す」ことができれば、足は地面に跳ね返って上がって来ます。

②地面を押す方向

地面を押してチカラを伝える方向は、スタート直後の加速の時には、自分よりも後ろにチカラを伝えるイメージです。こうすると、蹴った分だけカラダが前に進みます。そして、ある程度スピードに乗ってきても後ろに蹴り続けると、今度は足が後ろに流れてしまいがちになってしまいます。そこで、チカラを伝える方向を「後ろ」から「真下」に変えていきます。こうするとムダなチカラを出さなくても楽に速く走ることが出来ます。なお、この時のチカラの伝え方のイメージは、よく「空き缶を踏みつぶす」ようにと言われています。
「腿上げ」ではなく「プッシュ」のイメージを持たせることのメリットは、実は胴体の動きにもあります。「腿上げ」の場合、腿は高く上がっても、胴体と頭が後ろに倒れ(後傾し)たり、反ってしまったりするがよく有ります。当然、これでは速く走ることは出来ませんよね。これに対して、「プッシュ」の場合には、胴体はやや前傾ぎみになるため、後継したり反ったりすることはありません。

②蹴った後は、膝を折り曲げて前に戻すときのイメージ

ランニングでは地面を蹴って後ろに流れた足を前に戻します。先ほど述べたように、力強く蹴った足は、力を入れなくても、ある程度は自然に地面に跳ね返って戻ってきます。
しかし、足(靴)を引きずるように戻すお子さんを時々見かけます。このような動きでは歩幅(ストライド)が短くなるばかりか、足が地面に着いた時に大きなブレーキがかかるために速く走ることが出来ないことがあります。このような場合には、プッシュ(蹴った)したら「膝を折り曲げて前に出す」というイメージを持たせることがよいと思います。こうした動き方が、実は足を戻すのにさほど力も必要ありません。

<その4:走りを加速・中間疾走・ラストスパートに分けてイメージする>

短距離走とはいえ、お子さんにとっては長い距離のため、後半はカラダが思うように動かなくなってしまいます。短距離走では選手でも全体を①加速、②中間疾走、③ラストスパートの3つの局面に分けて考えます。こうして分けてレースをイメージすると、よい展開となります。
これを理解しやすいのが、自転車をこぐときのイメージです。自転車に乗るときに、走り始めは力強くペダルをこいで自転車にスピードをつけますが、ある程度スピードが出てきたら、ペダルを回すスピードをゆるめてリラックスしますよね。自転車ほどははっきりしていなくても、ランニングでも同じようにイメージします。
ランニングでも、スタートからずっとチカラいっぱい走っていては後半に疲れて動けなくなってしまいます。ですから、ある程度スピードが出てきたら、いったんリラックスするイメージを持ちます。ただし、そうは言っても手脚を動かすのをやめてしまうとスピードは落ちてしまいますので、あくまでもスピードが落ちないようにして、気持ちや肩のチカラをリラックスさせます。そのあとはゴールまでのラストスパートです。残りのチカラを振り絞って腕振りとプッシュを繰り返します。